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Imagine #3: 元ひきこもりによる講演会


障害者の就労支援施設「フードバンク八王子ワークス」の小島が主導する独自企画、外部講師をお迎えしての「Imagine シリーズ」、もう三回目になります。 今回は、ひきこもり歴10年を誇る(?)牛久保慧一氏による講演会が開催されました。

ただし「講演会」とはいっても、よくあるような、講師が一方的に話すようなものではありません。

この「Imagine シリーズ」は「一人の当事者の人生と内面を、対話することを通じて「お互いに」想像してみる」ことを目的としています。

牛久保氏は、現在、こだわりにこだわり抜いた珈琲焙煎の仕事をしています。 しかし、なぜ、珈琲焙煎の仕事なのでしょうか? どのようにして、ひきこもり状態から脱出することができたのでしょうか?

彼は、話してくれました。 その声は、元ひきこもりとは思えないほど(失礼!)、強く、大きく、明瞭なものでした。

自らの家庭のこと、ひきこもっていた頃のこと、「もう後がない」と追い詰められるような気持ちになって、何とか脱出しようともがき始めたこと、そして、幾つかの幸運な出会いがあり、それでもいろんな紆余曲折があって、ようやく現在に至っていること。 何よりも、現在は「まだ途上にある」ということ。 つまり「元ひきこもりのサクセスストーリー」でも何でもないこと。

ここに、以上の豊かな内容を具体的に書くことはできませんが、印象的な要点だけご紹介してみます。

「はじめは何でもやった」。 まさに、暗中模索です。漠然としたイメージはあるのですが、何をどのように具体的にやればいいのか、全くわからない。

そういったところからスタートして、師匠と思える人との出会いもあり、必死になって珈琲焙煎の技術を習得していきました。 そこから、自分が何をやるべきか、逆に言えば、何をやる必要がないのか、その区別というかメリハリが徐々にわかってきました。 そうして「やりたくないことは、やらなかった」。 しかし「ここだけは、手を抜かないと決めた」。 同時に、自分は、やたらとこだわる性格ではあるけども、自分にとって大切な人、大事なことに対しては限りなく「素直であること」を心がけてきた。 そして、今日、このワークスに来て、このような話をするとしても、自分には確信がある。「話をすることを通じて、一番、成長するのはオレだ」と。

ワークスの利用者たちからは、いつものように、様々な疑問や質問が飛びました。 その中には、次のようなものがありました。「ひきこもっていた頃の苦労など、あまり聞けませんでしたけど?」。 彼は、この質問に深くうなづきながら、答えました。 「みんな、自分も同じだけど、それぞれ、もうたくさんの苦労をしてきたし、今もしていると思う。敢えて、今日は語らず」。 この回答には、質問した側も、深くうなづいていました。

牛久保氏は、自分のひきこもり体験を、一つのスプリングボードにしようとしています。 今後、このような体験を様々な機会を得て、積極的に話していきたいとも語っていました。ほとんど、使命感すら感じて。 それが、彼の現在の「まだ途上にある」ことの重要な意味だとも感じました。

牛久保さん、本日は、ありがとうございました!


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